三軸操体とは?


三軸操体」について
              1993年 今 昭宏 著

三軸操体とは
池上六朗先生の三軸修正法と
橋本敬三先生の操体法の両原理を活用して
考案したものです。
池上先生、橋本先生に感謝いたします。

操体では快適な動きが歪みを正し、生体のバランスを整えるといいます。
果たして快感を生み出す動きとは………。
その動きを「軸」を使って分析してみることにします。

基本動作は六方向。

(A)前屈、後屈

(B)右屈、左屈

(C)右ねじり、左ねじり

と三組に分類されます。

これからひとつひとつの動きはあくまでも
平面的な基礎動作ですから、正確に行えば
不快や楽な感覚はあっても、快感とまではゆかないような
気がします。
さて、基本的な操体操法(つま先上げ下げ、膝倒し、カエル足、etc)を行い、快感が味わえた時の動きを逆にたどってみますと、当然かも知れませんが、ほとんどが腰や骨盤を中心とした基本動作(A・B・C)の連続連動合成運動になっていることに気がつきます。

例えば、つま先上げでは腰をねじりながら前屈か後屈などの後、脱力した時に快感が生まれやすいようですし、うつぶせで膝が曲がりにくい時の膝を伸ばす操法なども、膝伸展動作だけではなく、効果が上がるときは腰なども後屈やねじれ、側屈などの動きが合成され、脱力した時に快感をもたらしていることが多いようです。
又、頚部の圧痛を押さえて、逃げながら気持ちよく動く操法でも、アゴを上げて(後屈)ねじって倒し、脱力などとごく自然に取り組んでいることだと思います。

それでは、なぜ連続連動合成運動の快感で
バランスが整ってくるのか。
そのへんを軸を用いて模索してみたいと思います。

Aの前後屈は水平の左右軸。

Bの左右屈は水平の前後屈。

Cの左右ねじりは垂直の上下軸。

身体運動の基本動作は以上の三本の軸の回転運動によって成立し、動きによってそれらの運動軸が、ある指向性をもって発生するものとしてとらえてみるのです。

自然の猛威、竜巻が左巻きの回転エネルギーのうずで、湖水などを空中へ柱状に吸い上げる現象がありますが、生体もこのような原理が活用できるものと仮定して、軸の方向性に応用します。(右ネジの法則)

すると、

A 前屈は左向き、後屈は右向き。

B 右屈は前向き、左屈は後向き。

C 右ねじりは下向き、左ねじりは上向き。

という六つの動きの軸の指向性が生まれます。

すべての関節についてもいえると思いますが、ここでは腰を中心に動きで発生する軸について考えてみますと、まずそれぞれの軸が下腹部の中心(丹田)で直角に交叉~する状態を生むのが理想的なバランスとして考えます。

動きが不快に感じる時は、その動きにかかわらない他の2つの交叉軸が、その不快な動きとは反対方向に回旋してしまっているものと理解します。

例えば、単に後屈が不快で前屈が楽だとします。
このとき、Aの体勢(楽)の前屈位からC右ねじり(楽々)にB右屈(快)を組み込むのです。
(左ねじりが楽々なら左屈で快、右屈が楽々なら左ねじりで快、左屈が楽々なら右ねじりで快と四通りの快パターンが成立。)

すると、回旋して後屈を不快にしていた軸(a‘ 、 b’ )がみずから発生した軸a‘ベクトルと軸b’ベクトルを合成した方向〔快A、快B、 快C、快D〕に転換、元の状態にもどるという考え方です。

軸ベクトルは、運動角度、運動時間、運動力量、運動速度の四要素を基に方向をもって線分化され、その総量で線の長短を決めます。

このように動きそのものを形からとらえてゆく発想をひもとき、楽な体勢(軸の回旋している方向)から他の楽々な動き(軸)に快感を引き起こす動き(軸)を合成して動く(発生させる)ことで、はじめて快適な動き(快感ベクトルの誕生)となりバランスが調整される。
などといったことになっているのかもしれません。

「注意と要点」

楽々の動きの後の動きが重要です。逆を合成すると歪みを助長してしまいます。
又、楽々と最後の快の動作は続けて行うことと、最後の動きは軸ベクトルを短くすることが大切です。

上手く合成されると、楽→楽々→快と感覚されます。
動いていて少しでも不快な感覚になったら、中止して別の軸を調整してみてください。

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