自律神経失調症

           今 昭宏 著

ある畑ばあちゃんは十年前に腰を痛めて
何回か操体の指導を受け、いまだに自分でもやっているらしく、
元気なようすでした。
いつも畑仕事ばかりしている70歳ということで、
畑ばあちゃんと命名しました。

でも、今日の患者さんは娘さん48歳。
先日朝起きたらぐらぐらめまいがして、救急車で病院へ。
検査したけど、異常なし。点滴を受けて一日入院。
今は、なんとか仕事もしているとのことでした。

問診では、高血圧で、朝一回薬を飲んでいるとのこと。
お医者さんから自律神経失調症と言われ、「肩は凝るし、
頭は痛いし、自分は神経質で困っているんです」と
神経質な性格を嘆くようにいいました。

「なんでコマルの? 」と私が少し強い口調で娘さんに
言いました。
「神経質だからいいんでしょう」。
「神経質でなかったら大変だよきっと・・・」
「はぁ? 」
「いろいろなことが目につくし、どうでもいいことが気に
なって、それで肩がこったり、余計な心配をして悩んだりと、
一生懸命にするんだよねぇ」。
「そして、そういう自分がすごくイヤで、そうでない人を
見るとうらやましく思ったりするでしょう」
「はい」
「でも、ホントはそういう人が大事なんでしょう」。
「みんなしてぼけーっとしていたら秩序もなにもなくなって
しまうよね」。
「よかったねぇ、神経質で」(^^)
「優秀な証拠ですよ」といいました。

そうしたら、娘さんの目がなぜかうるうるになりました。
畑ばあちゃんもつられていい顔をしていました。

「また朝起きたときにめまいがするんじゃないかと心配なんだよね」
と私はいいました。
「はいっ」
「なんかひとつでも覚えて、家でやってみるといいよ」
とベットに仰向けに寝てもらいました。

足、膝ウラ、腰、肩、首、と触診してみたら、後ろ頭の首のつけ根が
ゴリゴリに凝っていました。
「これ、このコリをこうして押されると痛いでしょう」。

「痛ーい」

「こういうコリがひどくなると、めまいがしたりするんだと思いますよぉ」

私はそのこりの表面のかわを上にずらして「どうですか、こうしてここのかわをのばしてもらうと? 」と聞きました。

「良い気持ですぅ」と即答でした。

「気持のイイ感じが消えてきたら教えてくださいよぉ」
3分ほどして「なくなるんですね、良い気持が」とのこと。
この3分間に、手はピクピクッと動き、呼吸が深くなりました。
そしてゴリゴリもほとんど消えてしまいました。

次に膝たおしをしたら、右にねじると腰が突っ張ってきてイヤな感じだというので、左にねじってストンと一回やったら、腰がよくなりました。

「朝、ふとんの中でこんな感じで、きもちよーく背伸びでもしてから
起きてみるとイイかな? 。きもちよければだけどね」。

「楽になったわー、肩が軽くなりましたー」とにこにこの娘さん。

何が効いたのでしょうね。