側湾症の奥様
これは2016年当時の記録になりますが、
とても印象深い出来事がありました。
その日来院されたのは、
なんと30年前に今先生の操体法講習会を受講されていた
女性の方でした。
かつて側湾症や様々な
身体の不調に悩まれていたそうですが、
今先生との出会いによって操体法を知り、
それ以来30年間、ご自身で身体のメンテナンスを
続けてこられたとのことでした。
しかし、年数を重ねるうちに、
ひとりでのケアには限界を感じるようになり、
今回久しぶりに施術を受けに来てくださいました。
主訴は、首・肩・背中の重だるさ。
全体を観察しながら膝裏を触診すると、
特に左側に強いコリがありました。
私は左足の指先にも違和感を感じ、
そっと触れてみたところ、筋が強張り、
固くなっているのが分かりました。
すると、しばらくして鼻をすする音が聞こえてきました。
何かと思って顔を見ると、
クライアントさんの目から涙が静かに流れていました。
「先生、そこやると楽になるんです……」
そう言って、涙を流しながら喜んでくださる姿に、
私も胸が熱くなりました。
その後は自然と呼吸も整い、可動域も広がり、
訴えていた重苦しい感じはほとんど解消されていました。
身体を通じて、感覚や気持ちがほぐれていく――
仙台操体医学院では、こうした奥深く、そして時代に合わせて
進化する操体法を、今も日々お伝えしています。
あの時の涙の理由は、
言葉では言い尽くせないかもしれませんが、
きっと身体が“安心”を感じた瞬間だったのだと思います。
あらためて、身体は本当に奥深くて、
尊いものだと感じた出来事でした。
今貴史 著