天才
「人は、生まれてこれただけで天才なんだよ」
これは、父が私に教えてくれた大切な宝物のような言葉です。
子どもの頃は、天才といえば何か特別な能力を持っていたり、
突出した才能を発揮できる人のことだと思っていました。
しかし、今先生のもとで操体法を学んでいくうちに
「生きている」ということそのものが、
すでに天才的なことなんだと、腑に落ちるようになりました。
「天才」というキーワードは、本当に奥が深いものです。
人生には良いことも悪いことも、
いろんな出来事があります。
でも、そんな中でふと、
「あ、私って、生まれてきただけで天才だったじゃん」
と思えると、不思議と心が軽くなって
多少のことは許せるようになってくるのです。
「許す」というのは、ちょっとした工夫の積み重ねで、
思えば、あの頃の自分にとってちょっとした
「チャレンジ」でもありました。
ある日、ちょっと高価な洋服を買ったんです。
以前の私なら「こんな高い服、わざわざ買う必要なんてない」
と思っていたでしょう。
けれども、その服を着て鏡を見た瞬間
「あ、私、めっちゃいいね!」って、素直に思えたんです。
そのとき、自分のことを褒めている自分が鏡の前にいました。
「あぁ、私、かっこよくなったなあ」って。
この自分を褒めるという感覚こそが、
実はすごく大切なことだったんです。
自分をちゃんと認めて、褒めてあげられたとき、
初めて他人のことも褒められるようになる。
そんな気づきを、洋服ひとつをきっかけに得ることが
できたあの経験は、私にとって大きな転機となりました。
いまでも私は、一日に何度も鏡を見ます。
そして、何度も自分にこう言います。
「今日もいい感じだね」
「素敵だね!」
こうして日々、自分自身を認め、励まし、育てていく。
それが私なりの原始感覚の育て方だったのかもしれません。
今貴史 著