腰椎分離症
今 昭宏 著
スポ少野球の県大会でいいところまで行くチームの
ピッチャーで三番打者のヒロくん。
走ると腰が痛くて、大好きな野球ができません。
整形外科で検査したら、腰椎分離症になっているから
野球はやめたほうがいいといわれたらしかった。
そんな話をききつけた役場の保健婦さんが、
講習の後で往診してくださいとのことで、
私は保健婦さんと一緒に ヒロくんの家へ行ってみました。
二ヶ月くらい前のことです。
がっかりヒロくんとやはり高校野球選手だったパパさんが、
しょぼんとして待っていました。
私がヒロくんに
「どういうときに腰が痛いの? 」
などと聞いていると、
パパさんは、お医者さんからもらってきた カラーの腰椎分離症のイラストをもってきて、
「こうなって、ここが離れているらしいんです」
と不安そうにみせていいました。
「大丈夫だと思いますよ」
と私は言い、ヒロくんの膝ウラを探りました。
ゴリゴリに凝っていました。
はっきり記憶にないのですが、
操法はいろいろ動いてみてもらって膝ウラのこりが消える動きをさがして、ストンと力を抜いてもらったと思います。
確か、右手バンザイだったような・・・・。
そして、基本的な操法を3~4個やって、イイ感じのあるのだけをやるように指導しました。
次に、うつぶせになって腰のかわの操体をやりました。
手の平全体で上、下、右、左。
下がイイ感じというので、やりかたをパパさんに教えながら、やりました。
そして、腰のアイシングをしました。
気持ちがいいだけやるように教えました。
「せんせぇも昔野球をやってて、ピッチャーだったんだよぉ」
「ヒロくんは、何キロぐらいで投げれるの? 」
と私。
「90キロ位です」
とヒロくん。
「へえーっすごいなぁ、それじゃあ、今日はついでに100キロ以上のボールの投げかた教えようか」
と私。
ここからヒロくんの目が輝き出しました。
野球ができるんだ!。
と思ったのでしょうか? 。
ボールを持ってきてもらい、ボールの握り方、手首の使い方
投げるときの足の上げ方と踏み出し方。
といろいろ教えました。
次にバッティング。
肘の使い方と体重の移動の仕方をやりました。
ヒロくんは、ぐんぐん吸収してくれました。
そばで見ていたパパさんは、
「親の言うことは聞かないんですぅ」。
と言って嘆いていました。
保健婦さんもにこにこしながら見ていました。
即席の野球教室でしたが、ヒロくんもパパさんもなぜか元気になりました。
こんな感じの往診でした。
そして昨日。
そのとき担当の保健婦さんから講習の確認の電話があったので
ヒロくんの様子をきいてみました。
腰も治って、毎日野球をしていますよとのことでした。
あまりにもその答えが、あっさりしていたのと、
ここに書く都合上、さっきヒロくんの家に電話をしてみました。
そうしたら、ヒロくんのお母さんが電話にでて、
あれから腰も良くなって、今日もパパさんと試合に行きました。
とのことでした。
よかったよかった。
でも、いったい何が効いたんでしょう? 。