腰痛

              今 昭宏 著

昨日は、月に一度の豊里町での個別の操体指導がありました。

行く途中のたんぼ道で、赤とんぼがたくさん飛んでいました。
とんぼさんたちは、なに考えているのだろう? 。と本気で
思いました。
どこかで読んだような気がするかも知れません。(^^)

さて、操体の個別指導が始まります。
場所は健康センターですから、ちゃーんとした診察室があって、
そこで、ひとりずつ順番に指導してゆきます。

私は白衣を着ないで普段着のままで治療をします。
いいのか悪いのかわかりませんが、ずーっと、治療室でもそう
なのでそうしています。

保健婦さんが問診してカルテに記入し、患者さんをひとりずつ私
の所まで案内してくれます。

最初の患者さんは、カメばあちゃんです。

カルテを見たらもう五年前から、ちょくちょく来ている常連さんです。
腰から足からあちこち痛くて、腰を曲げてカメのようにのそのそと歩
きます。
「自分の歩く姿がガラスなんかに映ってみえると、がっかりするんだぁ」
とニコニコ訴え、痛いくせに腰を無理してのばします。

「腰は少しぐらい曲がってもいいから、痛くないように歩いてよォ」
と、何十回も教わったカメばあちゃん。
返事だけは「ハイハイッ」と元気でいいのですが、なかなか言うことをききません。

カメばあちゃんがベットに仰向けに寝ました。
私は膝ウラをさぐりながら「今日はきれいな模様の洋服だねぇ」と
花柄の色鮮やかなブラウスを見て言いました。

「なーに、あるもの着てきたんでがすぅ」と、カメばあちゃんは、
あたりまえのことを、少し照れくさそうに答えました。

そばで見ていた保健婦さんも、クスクス微笑んでいました。

そうしたら、さっきまであった膝ウラのこりが・・・・・、
消えてなくなってしまいました。

「はい、今日はこれでおしまいですぅ」。

とも言えずに私は、なぜかうつぶせになってのカエル足操法を
することにしました。

上げやすい左膝を上げた位置から、「この左膝を上げるのとー
下げるのではどっちがいい? 」
「上げるがいいでがす」
「じゃあ、気持ちよく上げながら、こっちの右足はどうしたい? 」
「のばすー? 、ちぢめるー? 」
「のばすほうがいいなやぁ」
「そのままいいように動いてぇー、抜きたくなったら抜いてよー」
十秒くらいして「カクッ」。
これ二回やって「起きて歩いてみてください」と私。

「楽になりましたー」と
カメばあちゃんが、うさぎばあちゃんになって帰ってゆきました。(^^)